にぐちの日々と備忘録

地方でそこそこ楽しく暮らしてるにぐちが、考えてることを駄々流しにする場所です。ぐだぐだ考えてることを文字にしています。趣味は旅行と観劇。そうです、現在絶賛大打撃中。

ミュージカル「H12」に泣く

2016年に公演されたミュージカル「H12」。なぜ今頃この感想を…?と思った方もいるだろう。自粛の中で観劇予定が消し飛び、しょぼしょぼしながら推しの出演作を遡っていたら「H12」に出会った。hicoproさん、DVDにしてくれて、映像を残してくれて本当にありがとうございます。

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届いたDVDはこんな感じ

〈ミュージカル「H12」に泣く〉というタイトルだが、先に断っておくと、作品自体はどちらかといえばコミカルだと思う。カップル・夫婦たちが持つそれぞれのリアルな悩み、相談を受ける元カノ・元カレの的確な指摘、圧倒的声量で展開される音楽、プロジェクションマッピングも美しく、テンポよく話が進んでいく。また、いかにもお涙頂戴!要素がなかったのが非常に好みだった。(私が気づかなかっただけかもしれない。その場合は大変申し訳ない…)

私は映画でもドラマでも小説でも、恋愛をテーマにしたものがあまり好きではない。恋愛なんてそこらじゅうで起きている日常だ。日常のはずなのだ。なにかの抗争に巻き込まれたり、いきなり相手が病気になったり、世界を股にかける天才なんちゃらだったり、超絶イケメン・美女だったりは、ほぼない。うちはそうです、という方には、ぜひそのまま波乱万丈な人生を送ってね…という言葉を贈ることにして、少なくとも私はそんな恋愛をしている現場に立ち会ったことがない。非日常が楽しいのは分かっている。そんなことありえない、というありえなさを楽しむ方法も知っている。ただ、恋愛だけはなんか…最後がどんなものであろうとも、愛してる、とか、これが恋だったのねありがとう…みたいな主人公のセリフで、綺麗に終わらせられたりするのがどうもダメなのだ。「だって、君たちの人生はこれからも続いていくんだよ?」と言いたくなる。そんなこといったら現実的になりすぎて面白くないだろ?と言われそうだ。はい…ごもっとも。

でも、あったのだ。現実的なのに面白い恋愛のミュージカルが。それが私にとって「H12」だった。

1組のカップルと5組の夫婦が物語をつないでいく。待ち合わせはいつも決まった喫茶店。その喫茶店を経営するのは妻を亡くしたオーナーと一人娘である。それぞれがどんな設定かは見ながら「えー!」とか「あ~」とか言いながら楽しんでほしいので書かないが、本当にそこらへんにいそうなのだ。どこにでもいそうだけど歌はめちゃくちゃに上手いのでそこも聞きどころである。ミュージカルなのでいきなり歌いだすわけだが、感情爆発したときって心の中でこんなことしてるかもしれない…と私は納得してしまった。終盤まで激しく納得したり、共感したり笑ったりで忙しく、にやにやと観ていたのだが、突然涙腺崩壊した。それは喫茶店オーナーと娘の会話である。

ここだけネタバレになるが、要約するとこんな感じである。6組の恋・結婚模様を見てきた娘が、私も幸せになれるだろうか、と父に尋ねる。父は、なれる、私たち夫婦の子どもだからね、と娘に言う。この場面に至る前にもグッとくるやり取りがある。それを積み上げて上記のやり取りなのが効いているのだと思う。(ただしこのオーナー、聖人ではないのでそこもいい。)幸せになれるだろうか、結婚できるだろうか、はたまた”幸せな結婚”ができるだろうか。結婚しなくても幸せになれるこの時代にあなたと結婚したい…というのはゼクシィのキャッチコピーだったと思うが、そういう時代であることに間違いない。結婚のハードルも高く見える。「幸せ」はひどく抽象的で、どれだけあっても足りない気がする恐ろしいものである。でも、幸せになりたいと思うのはどんな時代でも共通なわけで…。そんな、悩みというか漠然とした不安を、私たち夫婦の子供だから絶対に幸せになれるよ、という一言が消し去ってくれた。何の根拠もないのに。オーナーとオーナーと娘のやり取りなのに。まるで私が言われたような気がして泣いた。ここに至るまで、娘のセリフ一つ一つに共感していたからだと思う。私の実態は、どの役よりも喫茶店の娘に近かった。

これ劇場でみたかった!!!と思いながらも、2016年にみていてもこうはならなかったな、と納得する。2020年の私が、今みるべき作品だった。そしてきっと、今後見返しても違う感想を持つんだろうと思う。例えば、4年後に見返したら、カップルの彼女に共感するだろう。6年、8年経ったら夫婦達にそれなー!とか言いながら見るのかもしれない。そしてまた、違う場面で泣くのかもしれない。

どうだろう、何歳からみてもいいと思うが、役と同世代になりえるのは大学生以上なのかな、と思う。将来に漠然とした不安がある20代以上、男女は関係なしに是非みてほしい。そして出演者の中に応援している役者がいる場合も、みてほしいと思う。役者ってすげえな、と再度認識する機会になると思う。そして演出と脚本も楽しい。基本、すべてが楽しい。

この作品をみた人がいたら、感想を教えてほしい。どんな感想を持ったのか非常に気になる。私は不覚にも泣いたけど(まさか泣くとは思わなかった)、笑いっぱなしだったという人もいるかもしれない。気になった方は下のリンクからどうぞ。

 

★ミュージカル「H12」ダイジェスト

youtu.be

★公演グッズ、DVDはこちらから

→hicopro official store https://hicopro.theshop.jp/

 ちなみにDVD1枚3,800円 しかも私が購入したときは送料無料でした

★全役ダブルキャストです

☆キャスト

飯野雅彦 鏑木信三 高原紳輔 寺元健一郎 山田宗一郎 吉田純也 飯野めぐみ 井坂茜 谷口あかり 舩山智香子 松山愛里 森山アスカ

◇キャスト

猪俣三四郎 加藤潤一 spi 田村良太 遠山裕介 宮島朋宏 木村帆香 杉山真梨佳 中村百花 水野貴以 山中美奈

 

お題「#おうち時間

お題「これ買いました」